ある晩、汗を流したあとに、ふと横の電柱を見ると。
昔、山手線沿いの鉄柱に「大森 おでき薬局」という看板がくくり付けられていたのを思い出しました。「ノザキのコンビーフ」と並んで、都民にサブリミナル効果を及ぼしていた看板です。
ここに、あったんだ。実物が。
日を改めて「この先↑」を探検です。
駅前の商業地域を離れて、普通の住宅街に入ってしまいました。だんだん不安になってきたところに……
中は普通の薬局です。皮膚病薬ばかり扱っているわけではありません。
棚から「メガネクリーナふきふき」を取って、白衣を着た初老の紳士に話しかけます。
「このお店は、何年前からあるんですか?」
「そうですね、もう、七十年以上経ちますかね」
「! すると、ご主人で……」
「三代目になります」
「線路脇の看板、昔たくさんありましたよね。まだあるんですか?」
「まだあるはずですよ。もうずいぶん減ってしまいましたが」
気分はコロンブスか三蔵法師。夢を信じて良かった。
0 件のコメント:
コメントを投稿